DETAIL
日本に“ジャマイカの風”が初めて吹いた1957年を中心に描く、音楽文化の黎明記録。1957年から日本で芽生えたカリプソ、そしてその周辺に生まれた“南国のリズム”を再構築する。
かつて昭和の街角で、ほんの一瞬だけ灯った「南国の灯(ともしび)」。それは、遠いカリブ海から届いたリズムが、戦後日本の大衆文化と交差した瞬間の輝きだった。浜村美智子、沢たまき、宝とも子、江利チエミ、彼女たちの唇からこぼれた旋律が「ジャマイカ」という言葉をまだ誰も知らなかった時代に伝えた。
当時、レコード盤やSP盤に刻まれた音源の数々。その多くは一度も再発されることなく、長い年月の中で静かに眠り続けていた。本作では、それらを丁寧な修復とアーカイヴ再構成によって現在へと繋ぎ、日本における“ジャマイカン・ビート歌謡”の源流をいま改めて照らし出す。
■ママはブーブー(Mama Look A Boo Boo)
日本におけるカリプソ受容史の中でも、特筆すべき金字塔といえる一曲。南国のリズムと昭和のユーモアがひとつに溶け合い、「ブライト・リズム・ボーイズ」の鮮やかなコーラスが彩りを添える。原曲はロード・メロディ (LordMelody) による1956年のヒット曲で、レゲエではマーヴエルズもカヴァーした名旋律として知られる。長らく復刻されることのなかったこの曲が、いま遂に待望の初再発を迎える。
■ジャマイカ生れ
1957年に始まった日本の"南国リズム"の物語が、八年後にもう一度だけ、浜村の声でひっそりと蘇った。その音源はネット上に姿を現すこともなく、時代の記憶から消され、忘却の中へと沈みかけていた。アルバムやシングルでの発売もなく、時のオムニバス盤『ビクター歌の花束 第2集』にのみひっそりと収められていた1曲である。それは、昭和歌謡史の片隅で密かに灯り続けた"最後のカリプソ"の残響であり、再び"南国の音"を取り戻そうとした浜村自身の静かな情熱が刻まれている。
■盤コンディション M/M
■P/Sコンディション M
■PANJA RECORDS